土木学会/インフラパートナーグループ 委員長
土木と市民社会をつなぐフォーラム 委員長
(㈱株式会社エイト日本技術開発/防災保全事業部/東京支社/防災計画分野)
三村 昇

土木学会土木広報センターのインフラパートナーグループ(※)は、昨年度から新たに活動をスタートし、インフラパートナー制度(※)の拡充やインフラパートナー(※)の活動支援を目的に取り組みを進めています。これら活動は、「土木と市民社会をつなぐフォーラム」(※)と協働して取り組んでいます。
(※「インフラパートナー」とは、土木学会が市民団体との連携を目的に立ち上げた「インフラパートナー制度」に沿って合意書を結んだ団体;詳細は「CNCP通信 2024年4月号(VOL.120)」参照)
https://npo-cncp.org/wp/wp-content/uploads/2024/04/CNCPtsushinVol.120_all_p25_20240405.pdf
以下に、今年度の活動状況などを報告させていただきます。
■活動方針
昨年度実施したインフラパートナーへのアンケート調査結果(※2)と、昨年度末から今年度始めに掛けて実施した、インフラパートナーとの意見交換の結果を踏まえ、今後の活動方針を以下としています。
1.インフラパートナーが開催するイベントへの参加及び後援・広報
2.インフラパートナーの活動を学会広報メディアにより対外的に発信
3.本部委員会、支部及び他団体との交流・情報交換の場の提供
今年度は、この中で、下記のインフラパートナーの意見を踏まえ、特に1.と2.を中心に取り組むこととし、毎月1回、運営会議を開催して検討・議論を進めています。
(※2「CNCP通信 2024年10月号(VOL.126)」参照)
https://npo-cncp.org/wp/wp-content/uploads/2024/10/CNCPtsushin_Vol.126_all_p15_20241005.pdf
■インフラパートナー(IP)との意見交換結果
インフラパートナーへのアンケート結果を踏まえ、より具体の考え方や認識を把握・共有するため、昨年度末から本年度(2025年1月~5月)にかけて、ご協力の連絡を頂いた7団体との意見交換会を実施しました。主な意見は以下の通りです。インフラパートナーの活動の発信や情報の共有を始めとした、土木学会に期待する要望や、その他具体で有益なご意見を多数いただきました。ありがとうございます。
| 1.インフラパートナーが開催するイベントへの参加及び後援・広報 | |
| IPの意見 | ・連携するためには、他のIPの活動を知ることは必要(四国) ・IPのロゴは、一般市民にも「土木学会」であることが分かるように(噂) ・土木学会の後援は地域の普通の人にとって敷居が高くなる場合もある(シー) ・CNCP通信の活動紹介などにより、情報量が増えた点は評価(三島) ・毎月届くCNCP通信は各地でどんなことを行っているのか参考になる(道守) ・学会等のサイトに掲載する資料を作成できる人がいないので、インフラパートナーグループでやってくれるのであればお願いしたい(道守) |
| IPの取組提案 | ○「土木学会後援」が難しければ、「土木広報センター後援」を容易に(噂) ○土木学会のIPサイトや「土木と市民社会をつなぐフォーラム」のfacebookなどでIPのイベントを広報する(多数) ○IPの講演会やセミナーに対するCPDの認定を容易に(シー) |
| 2.インフラパートナーの活動を学会広報メディアにより対外的に発信 | |
| IPの意見 | ・現在のIPのサイトを見る人はほとんどいない(国境) ・学会の表彰はモチベーションになる(シー) ・学生が、実社会の仕事に参加して収入を得て、単位を取り成長する仕組みが重要。工学の知識だけでなく、人間力・交渉力・コミュニケーション力の向上が重要(三島) ・IPが持っている価値を土木学会が広めてくれるとメリットがある(三島) |
| IPの取組提案 | ○全国大会のポスターセッションによるIPのPR(噂) ○土木学会の表彰(インフラパートナー賞など)の創設(噂) ○インターンシップや企業・行政の若手研修用に、実施している体験学習等のカリキュラム・ガイドブックを、IPや学会と共有・提供可(三島) ○IP団体が作成している講義動画等を、インフラパートナーグループで情報収集・ネット掲載・PRのスキームを作成(三島) |
| 3.本部委員会、支部及び他団体との交流・情報交換の場の提供など | |
| IPの意見 | ・他分野・異業種と繋がることで活動が広がる。他地域の同様な活動をする団体とも連携したい(四国) ・連携には意見交換や情報交流が必要。交流会は事前に困りごと・知りたいことリストを準備して実施(四国) ・CNCP通信・学会HP等での紹介や年1回の交流会は有効(四国) ・同様の活動をしている団体があれば、意見交換・セミナーの共同開催や現地活動の協働が可能(国境) ・災害時の現地支援などでIPであれば直ぐに現地と連携できると良い(国境) ・IP仲間と運営上の事務的な相談などもできるとよい(国境) ・土木学会というアカデミズムと市民を何かの柱・テーマで繋ぐ仕組みが構築出来るとメリットが生まれる。連携する目的をより具体にする(シー) ・18団体の多くは既にネットワークを持っているので、18団体を核にしながらエリア単位で広げる(シー) ・地域毎のIPが集まる機会・場が必要。ただし旅費の手当は重要(シー) ・地域の仲間を増やす取り組みは、先ずどこかの支部で試行するのがよい(噂) ・支部を中心に展開してIP外の方々と横串ができると、メリットがある(噂) ・現18団体にとってのメリットは少ないので、現メンバーが地域の繋がりを作っていくことによる新たな展開を期待(噂) ・18団体は、地域における指導的立場で動く枠組みがよい。地域の小団体とのIP合意書は支部の事務局長と結ぶぐらいが適切(噂) |
| IPの取組提案 | ○学会支部のイベント参画や委員会の設置により、様々な委員と繋がる枠組みがあるとよい(噂) ○支部の地区行事(市民向け講座等)やシビルネット等を活用、あるいは委員会・部会等を創設して広報(四国) ○既存の地域ネットワークやテーマネットワーク等の仲間と連携(シー) ○単独の小規模や活動の初期段階の団体等の仲間化・連携(噂) ○現IP団体やその仲間と、オンラインでのパネルディスカッションや座談会とそれら動画の広報(噂) |
(シー):シーニックバイウェイ支援センター(北海道)
(国境):国境なき技師団(東京)
(三島):グラウンドワーク三島(静岡)
(四国):四国防災八十八話・普及啓発研究会(香川)
(里海):かがわ里海大学(香川)
(噂) :噂の土木応援チームデミーとマツ(福岡・長崎)
(道守):道守養成ユニットの会(長崎)
これらの意見を踏まえた今年度の取り組み状況を概略以下に示します。
■インフラパートナーのイベント等活動の広報支援
インフラパートナーから多くのご意見を頂きました、活動等の広報に関する支援について、以下の方法で進めています。どちらも決して閲覧が多いサイトとは言えませんが、少しでもインフラパートナーの活動が目に触れる機会を増やしていければと考えています。
・土木学会のインフラパートナーサイト(右上図)でのイベント開催・結果報告等の活動紹介
https://infrapartner.jsce.or.jp/
・「土木と市民社会をつなぐフォーラム」のfacebook(右下図)でのイベント等活動紹介
https://www.facebook.com/jsce.civil.npo/


■CPD認定プログラムの申請支援
インフラパートナーが講演会やセミナー等を開催する際に、土木学会のCPD認定プログラムの申請を支援して欲しいとの意見があり、申請フォームの記入サンプル等参考情報を必要に応じて提供するよう準備をしています。
■土木学会全国大会のポスターセッションによるPR
土木学会全国大会のポスターセッション(9月11日)で、インフラパートナー制度・インフラパートナーの紹介を実施しました。(「CNCP通信 2025年10月号(VOL.138)」参照)
表彰は、インセンティブあるいは活動のモチベーション向上になるとの意見を踏まえ、新たに、「土木学会インフラパートナー賞」を設け、毎年選考し、表彰することを検討しています。
インフラパートナー団体からの推薦に基づく以下の賞を想定しています。
・「インフラパートナー○○(団体名)賞」:推薦したインフラパートナー団体名の賞
・「土木学会支部長賞」:支部の中の最高位の団体
・「土木学会土木広報センター長賞」:全体の最高位の団体
表彰結果は、地域の業界誌や土木学会誌等に、受賞者・推薦団体名と内容を投稿・掲載する想定です。
■インフラパートナーが作成している動画紹介
インフラパートナーが保有あるいは得意としているスキルや活動等について、土木学会の広報ツールを活用し、対外的に発信する準備をしています。土木広報センター事務局が管理・運営する、「土木学会tv」の「再生リスト」を活用し、インフラパートナーがYouTubeチャンネルに登録している動画から、該当する講義・研修やイベント等の動画を紹介していく予定です。
https://www.youtube.com/@JSCEtv/playlists

今後もみなさんのご意見を踏まえた取り組みを進めていく予定ですので、よろしくお願い致します。
