シビルNPO連携プラットフォーム
適疎な地域づくり研究会
10/3に行われたCNCPの総会のあとのプロジェクト発表会で、「適疎な地域づくり」の活動報告を聞き、小松理事が、生成AIに、CNCPのホームページに掲載してある「CNCP通信(過去1年分の掲載とバックナンバー検索)」のページを指定し、「適疎な地域づくり」に関して、ChatGPT-5(OpenAI)には一般向け雑誌記事を、NotebookLM(Studio)にはラジオのトーク番組のような紹介と解説記事を、作って貰いました。ホームページの下記に掲載しましたので、見てみてください。
※URL:https://npo-cncp.org/page-7364/page-23822
本文は、その内、この記事のタイトルで生成されたトーク番組風の音声ファイルを基に、編集したものです。なお、話者は、オリジナルでは無名ですが、Speaker1・2では味気ないので、私の知る範囲で似た声の、雅治さんと優香さんにしました。(笑)
■雅治:どこかに出かけて、ここは人が多すぎるなとか、逆に、なんか寂しいくらい人がいないなって感じることありますよね。そのちょうど真ん中のなんというか、心地よい間みたいな感覚。今回はですね、まさにそのちょうどよさを探る考え方、「適疎」について、一緒に考えていきたいと思います。
今回の情報源は。シビルNPO連携プラットフォーム(CNCP)が発行しているCNCP通信の記事なんです。特に代表理事の山本卓朗さんの考え方ですとか、あと他の研究者の方、それからCNCP自身の取り組みを通じて、「適疎」っていうのがどういう意味を持つのか掘り下げていきます。
目指すのはですね、「適疎」って結局どういうことなのか、それからどんな視点があるのか。そして、これからの地域とか私たちの暮らしを考える上で、あなたにとって何かこう、ヒントになるようなことが見つかればいいなと。そういうことです。さあ、この「適疎」という、もしかしたらちょっと聞き慣れないかもしれない言葉の世界、一緒に探求していきましょうか。
まずは提唱者のお一人、山本卓朗さんが、CNCPの記事で示している「適疎」の考え方から見ていきましょう。山本さんはそれぞれの地域特性を生かした魅力を引き出し、多くの人が住んでみたい、行ってみたいと考えるような、過密でもなく、過疎でもない地域だと。まあ、こういうふうに表現されています。これ、シンプルに見えますけど、なかなか、深いですよね。
■優香:ええ、そうですね。これ、単に人口が多過ぎず、少な過ぎずっていう、そういう話じゃなくて、地域を元気にするための、まあ草の根的な活動と結びつけて考えているんです。観光客とか、イベント参加者みたいな交流人口とか。あとは住民じゃないけど、地域と継続的に関わる関係人口を増やすみたいな、そういう取り組みですね。記事では古民家を改装したお店とか、ミニホテルとか。あと、街全体をアートで盛り上げるみたいな試みを例に挙げて、その土地ならではの個性を生かすのが大事なんだと強調していますね。地域づくりのスケール感もまあ、いろいろあるんだと。
■雅治:なるほど。数字だけじゃなくて、その場所が持っているポテンシャルとか人の流れとか、そういう質的な部分がポイントなんですね。しかも記事によると、この「適疎」っていう考え方自体はなんと1960年代にもあったそうですね。全く新しい概念ってわけでもないと。それが今、どうしてまた改めて注目されているんでしょうか。
■優香:うん。それはやっぱり日本全体で人口減少が進んでるっていう、その現代的な背景が大きいでしょうね。多くの地域で担い手不足とかコミュニティの維持が難しくなってきてるじゃないですか。そういう中で、ただ人を増やすっていう発想だけじゃなくて、地域の魅力を高めて、こう持続可能なあり方を模索する。その視点として「適疎」がまた光を浴びてるんじゃないかなと思いますね。そしてここが重要な点だと思うんですけど。 山本さん、これは過疎地だけの問題じゃないってはっきり指摘しているんですよ。例えば東京みたいな大都市でも、災害に弱い密集地もあれば、一方で昔ながらのなんていうかご近所付き合いが残っていて、コミュニティがちゃんと息づいているような、そういう「適疎」な空間も存在するんだと。
■雅治:ああ、なるほど。
■優香:ええ。つまり都市か地方かみたいな、そういう単純な二択の話じゃないんだと。もっと普遍的な課題なんだっていうわけですね。
■雅治:そして、私が記事読んでいて特になるほどって膝を打ったのはですね、「適疎」な地域づくりを新しいふるさとづくりだって捉えている点なんです。ご自身の戦時中の疎開体験を踏まえて、生まれ故郷だけが故郷じゃないんだと。人々が魅力を感じて何度も訪れたくなるような「適疎」な地域っていうのが、第二、第三の故郷になり得るんじゃないかっていうんですね。 これって、あなた自身の故郷のイメージとも、もしかしたらどこか重なる部分があるかもしれませんよね。例えば都会生まれだとしても、なんかこう心惹かれて何度も帰りたくなる場所ができたら、そこも故郷って呼べるかもしれないみたいな。そういう視点は面白いなと思いました。
さて、この「適疎」という考え方ですけど、他の研究者の方とか専門家の方も注目してきたみたいですね。ちょっと歴史を遡ると、文化人類学者の米山俊直さん。 このお名前が上がってくるんですね。
■優香:はい、そうなんです。CNCP通信の記事でも紹介されていますけど、米山さんは1969年に「過疎社会」っていう本で、おそらく初めて「適疎」という言葉を使った人物とされているんですね。興味深いのは、彼が過疎を単なる社会問題としてだけじゃなくて、もっとこう個人の生き方に関わる、ある種実存的な問題として捉えていたっていう点なんです。 その上で、「適疎」を過疎の対極にある、まああるべき理想の状態として提示したということですね。
■雅治:ええ、1969年ですか?
■優香:ええ、半世紀以上も前の指摘なんですけど、彼があげた過疎対策の四つの視点っていうのがあって。えっと、村の過去にとらわれない個人の選択を尊重する。生活水準は都市との平等を目指す。新しい知を入れる。 これ、現代の「適疎」を考える上でも驚くほど示唆に富んでいるんですよ。つまり、伝統的な枠組みとかに固執しないで、個人の自由な選択をベースに都市との格差をなくして、外部からの新しい人を積極的に受け入れるべきだと。当時としてはこれ、かなり先進的な考え方だったんじゃないでしょうかね。
■雅治:へえ、半世紀も前にそんな本質的な議論があったんですね。なんか、伝統を守るっていうより、もっと開かれた個人の意思を尊重した地域社会を、もうその頃から模索していたと。そこから今度は現代に目を向けると、コミュニティデザイナーの山崎亮さんも「コミュニティデザインの時代」という本で「適疎」について言及されている。これはまたちょっと違った角度からのアプローチになりそうですね。
■優香:そうですね。山崎さんの場合は、より現代的なというか、実践的な視点から「適疎」を捉えている感じですね。 その記事によれば、都市生活にちょっと疑問を感じた若い世代が地方に移住して、より人間らしい暮らしを見いだすみたいな、そういう文脈で触れているようです。例えば、地元の食材を活用したカフェを開いて地域経済に貢献するとか、あるいは、もともといた住民の方と新しく来た住民が一緒になって何か新しいことを始めるとか。 で、山崎さんが重視しているのは、それぞれの地域にとっての適正な人口規模っていうのを見極めて、将来像を描くこと。そして、ここが非常に重要なポイントだと思うんですけど、「適疎」っていうのは客観的なデータとか指標だけで測れるもんじゃなくて、個人の感覚によるところが大きいんだと指摘してるんです。
■雅治:ああ、なるほど。
■優香:つまり、どこから来たかとか、どんな価値観を持ってるかによって、ちょうどいい空間の感じ方って、人それぞれ違うかもしれないってことなんですね。あなたにとっての「適疎」は、他の誰かの「適疎」とはまた違うかもしれないと。
■雅治:ああ、なるほど。それは大きな視点ですね。「適疎」に唯一絶対の正解があるわけじゃないんだと。むしろ、主観的な心地よさみたいなものが、すごく大事な核になるっていうことですね。それはなんかすごくしっくりきます。そうなると、最近の研究ではどういうアプローチが取られてるんでしょう? 摂南大学地域総合研究所の適疎戦略研究会っていう動きもあるようですが。
■優香:ええ、摂南大学の野長瀬裕二教授を中心とする研究会ですね。これはより政策的というか、実践的な側面が強いアプローチと言えるかもしれません。CNCPの記事によると、関西圏の自治体とネットワークを組んで、 経済学、経営学、農学、工学といった、まあ多様な専門分野の知見を集めて「適疎」を目指しているということのようです。彼らが定義する「適疎」っていうのは、人口が減っていく中でも持続可能な地域経済と生活基盤がある状態。 つまり、地域にちゃんと仕事があって、生活の質がある程度保たれている、そういう状態かなと言えるでしょうね。うん。研究会では、移住定住の支援策とか、公共交通をどう維持するか、あるいは改善するか、雇用の創出、それからふるさと納税の活用といった、かなり具体的な政策課題が議論されているみたいですね。で、研究を通じて住民の税負担能力、まあ、担税力って言いますけど。 それとか、地域の産業振興、あとは都市へのアクセスの良し悪しみたいな要因が「適疎」を実現する上で重要だってことが見えてきているようです。経済的な持続可能性っていう視点がより強く打ち出されているのが特徴と言えそうですね。
■雅治:なるほど。山本さんの魅力と故郷っていう捉え方から始まって、歴史的である意味理想論的な視点。それから、山崎さんのコミュニティデザインと主観性の大切さ、そして摂南大学の経済生活基盤っていうすごく現実的な側面まで。いや、「適疎」っていう一つの言葉を、本当にいろんな角度から深掘りしているんですね。
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■雅治:さて、ここで今回の情報源であるCNCP、その自身の取り組みに話を戻しましょうか。彼らも「適疎な地域づくり研究会」っていうのを立ち上げて、このテーマに積極的に関わってるんですよね。
■優香:はい、その通りです。彼らの活動のまあ歩みみたいなものがCNCP通信の記事で紹介されていましたね。それによると、大きく三つの段階を踏んできたみたいです。最初はCSV、つまりCreating Shared Value、日本語だと共有価値創造ですかね。そういう考え方を学んだそうです。これは企業が社会課題の解決を単なる慈善活動としてじゃなくて、自社の事業活動そのものを通じて行うことで、社会的な価値と経済的な価値の両方を生み出そうっていう、そういう考え方ですね。
■雅治:なるほど。ビジネスとして社会貢献を考えるということですね。
■優香:ええ、そういうことです。その上で、次の段階ではより具体的に「適疎な地域づくり」っていうテーマに焦点を当てたと。 特に建設業界、まあゼネコンとかがこの課題にどう貢献できるのか、何か新しい事業モデルは作れないかとか、そういうかなり泥臭い議論って書かれていましたけど、そういうのを重ねて「適疎な地域づくりへの提言」(案)という形に一旦まとめたそうで。
■雅治:へえ。提言まで。
■優香:ええ。そして現在はその提言をさらに発展させる段階に入っていると。全国の、まあいろんな地域で行われている地域づくりの先進的な事例を集めて。土木と建設の専門家、いわば土木屋さんとしての知識や技術をこれからの地域づくりに具体的にどう生かしていけるのか、その方法を探求しているっていう、そういう状況のようです。CNCPのウェブサイトには、この研究会の成果として「適疎」に関する特設ページがあって、集めた事例とか提言なんかが公開されているそうなので、もしより深く知りたい場合は参考になるかもしれませんね。
■雅治:理論から実践へ。そして具体的な事例の共有へと。CNCP自身も「適疎」の考え方を深めながら社会実装を目指している。そういうことなんですね。これは、何か具体的なヒントを探しているあなたにとっても良い情報源になりそうですね。
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■雅治:さて、ここまでいろいろな視点から「適疎」を見てきました。ちょっとまとめてみると、「適疎」っていうのは単に人口密度の話ではなくて、過密と過疎の間の、なんかこうちょうどいいバランスを見つけて。その土地ならではの個性とか魅力を最大限に生かしていくこと。まあ、そんな風に言えそうですね。
■優香:そうですね。そしてそれは人口が減って、社会のあり方が大きく変わっていくという時代において、持続可能な未来を描くための非常に重要なキーワードになってきているのかもしれないですね。面白いのは、山本さんのふるさと論、米山さんの歴史的な視点、山崎さんの主観性の重視、摂南大学の経済基盤重視と。視点は本当に多様なんですけど、でも共通してなんていうか、都市か地方かとか、過密化過疎化みたいな、そういう単純な二元論を超えようとしているっていう点ですよね。
■雅治:本当にそうですね。そして忘れちゃいけないのが、山崎さんも指摘していましたけど、「適疎」は一人一人感じ方が違う。主観的なものでもあるんだっていう点。データとか計画ももちろん大事なんですけど、最終的にはそこに住む人とか、訪れる人がどう感じるか・・っていう。その体感みたいなものが重要になってくると。
■優香:まさに客観的な条件整備と主観的な心地よさ。その両方がやっぱり必要なんでしょうね。
■雅治:それではここで、あなたに問いかけてみたいと思います。あなた自身のコミュニティ、あるいはこれから住んでみたいなとか、訪れてみたいなって思う場所について考えて見てください。つまり「適疎」とは、あなたにとって具体的にどんな状態を指すでしょうか。何があなたにとってのちょうどよさを作り出すんでしょうかね。
今回はCNCP通信の記事を手がかりに、「適疎」という考え方をめぐる様々な視点を探求してきました。いや、本当に奥が深いテーマですね。
■優香:ええ。最後にもう一つだけ、ちょっと思考を広げる問いかけをさせてください。私たちは主に人口の密度っていう観点から話をしていきましたけど、もしかしたら他の密度っていうのも、ある場所をちょうど良いと感じる上で重要かもしれないなと思うんです。
例えば機会の密度。仕事とか学びとか、何か新しい挑戦をするチャンスがどれくらいあるか。あるいは人間関係の密度、人とのつながりがどれくらい濃密なのか、それともどれくらいプライバシーが保たれるのか。それから自然の密度、身近にどれだけ豊かな自然を感じられるか。こういう、なんか様々な種類の密度が複雑に組み合わさっている場所を、あなたにとってちょうど良い、つまり「適疎」だと感じさせているんじゃないでしょうか。少し立ち止まって考えてみる価値があるかもしれませんね。
■雅治:本日はお聞きいただき、本当にありがとうございました。
