誰でも楽しめる土木ふれあいフェスタ

誰でも楽しめる土木ふれあいフェスタ誰でも楽しめる土木ふれあいフェスタ

株式会社エイト日本技術開発
土木学会 コンサルタント委員会 市民交流研究小委員
長塚 麻子

■土木ふれあいフェスタについて

土木学会コンサルタント委員会市民交流研究小委員会では、「くらしと安全を支える土木」をテーマに、体験プログラムやクイズラリーなど、子供から大人まで楽しみながら、『土木』について聞き、見て、ふれて、理解を深める場を提供することを目的として、毎年、土木ふれあいフェスタを実施しています。

 2009年の第1回(秋田県にて開催)より、全国各地にて15回開催し、第16回目となる昨年は11月2日(日)、広島駅近くにて、エキキタカラフルマルシェ(主催:エキキタまちづくり会議,尾長地区連合町内会・東区役所)の会場の一角を借りて開催しました。あいにく、途中小雨が降る時間帯もありましたが、エキキタカラフルマルシェと連携し、盛況のうちに終えることができました。

 土木の大切さや、土木技術の面白さ等を伝え、理解を深めていただくとともに、新たな未来の土木技術者となる子どもたちの興味につながることも期待し、委員会では楽しんでいただける体験プログラムを企画し、取り組んでおり、その様子を紹介します。

【実施概要】

・開催日時       :令和7年11月2日(日)10:00~16:00
 ・開催場所    :広島県広島市東区2丁2-25二葉の里 広島高速5号線二葉の里現場ステーション
 ・主催(どぼくふれあいフェスタのみ)
:公益社団法人土木学会 コンサルタント委員会 市民交流研究小委員会
 ・協力          :公益社団法人土木学会 トンネル工学委員会
                       エキキタまちづくり会議,広島高速道路公社

■誰でも分かる体験プログラム

 全体がクイズラリーの形式になっており、体験プログラムを一つ終えたら回答を記載してもらいます。

 体験プログラムの幾つかについて紹介します。

①アーチ,トラス模型実験、トンネル模型実験 

どちらの模型実験も、身近な生活の中に土木に関連した構造力学が使われていることを理解してもらう体験プログラムです。

橋梁の模型実験では、参加いただく方に2枚の薄いアクリル板を使い、強い橋のかたちを作ってもらいます。ただアクリル板をかけるだけでは、ミニカーを載せるとアクリル板は大きくたわみ、ミニカーは沈んでしまいます。1枚を曲げてアーチのかたちにすると、ミニカーを載せてもアクリル板はたわまず、対岸に渡ることができます。その様子を見て体験いただきます。参加者は、二枚重ねにしたり、Xの字のように置いてみたり、アクリル板を手にして考えます。最後、2枚のアクリル板で上路式アーチの形状とすると、上に載せたミニカーの荷重は、アーチの効果により水平方向に逃がされ、たわまないことが分かると、驚きとともにアーチの構造が分かる仕組みです。

トンネル模型実験は、丸,三角,四角の断面をもつ木材に紙面を巻き、その状態で、砂を詰めた透明の箱を貫通させます。参加者に、どれが一番強いトンネルかを予想してもらい、実際に、静かに木材のみ引抜いてもらいます。

すると、三角,四角のトンネルは、周りの砂による圧力で潰れてしまうのに対し、丸の形状は、筒状になった紙面に作用する土圧が均衡し、崩れずに残る状態を見てもらいます。

 橋梁もトンネルも、普段何気なく通る土木構造物だと思うので、実験で分かったことを、日常で、その構造物を見かけたときに、構造の特徴を思い出してもらうことを期待して、説明しています。

 橋梁の模型実験では、思いもよらないようなかたちにしようとする参加者の方もおり、担当者も改めて気付かされ、また、構造力学を簡単な言葉で伝えることは、普段、設計業務に従事する私たちにとっては原点に戻るよい機会となっています。

②歩測体験~歩測の達人になろう~

土木の多くの分野では、測量図や地図が基本の条件となります。そこで、江戸時代に日本全国を歩いて測量した伊能忠敬の功績を通じて、測量について知ってもらう体験プログラムです。

まず、参加者に10歩を歩いていただき、担当者が長さを図ります。そこから、参加者の1歩の長さを計算し、あらかじめ地面にテープで貼られた「ひみつの道」を歩いていただき、何歩分であったかを数えます。1歩の長さ×数えた歩数が「ひみつの道」の長さで、正解の長さと比較して、正確に地形や長さを図ることの難しさなどを体験してもらいます。現在では、ドローンを利用した3次元の測量も利用されていることを紹介し、生活やインフラ整備のあらゆる場面で不可欠な情報の基礎となる技術,分野であることを伝えます。

 体験プログラムの内容としては、とても単純な方法によるものですが、正解の長さとご自身の1歩を基準として計算した長さの違いが分かると、近い数値でも差が大きくても、参加者に興味を持ってもらうことができています。

③水質実験「水の旅」

水質実験では、まず、参加者の皆さんに身近にある「水」について思い浮かべてもらい、自然にある水がどこからきてどこへいくのか学んでいただきます。雨や雪が森林から川へ、川からダムや湖に貯水され、取水設備,浄水場を経てきれいな上水となって家で使えるよう整備されています。家に届いたあと、様々なことに使われることになりますが、その中で例として、お米を研いだとぎ汁がきれいな水か汚れた水か、パックテストを使って色の変化を見てもらいます。

パックテストには、CODを測る試薬が入っていて、水道水とお米のとぎ汁をそれぞれパックテストで吸水して振っていただきます。すると、お米のとぎ汁の方は、水に含まれる有機物を分解するバクテリアが増えたことにより、水中の酸素が減って、水道水とは異なる色に変化します。色が変わるほど生物の生息には向いていないことを解説し、また、その汚れた水が下水道管を通って浄化センターで浄化され、川に戻って、やがて海へ流れ雨や雪へと変わり循環すること、その処理に時間がかかることを伝え、水を大切に使うことを意識していただきます。

 これも、体験内容としてはとてもシンプルな方法ですが、参加者自身でパックテストを使って、色の変化を確認することで、普段使う水について考える機会を提供できていると思います。

④どぼくかるた

これは、本委員会で製作しました「どぼくかるた」をやっていただくコーナーです。あらかじめ20札程度を選んでおき、5~10分くらいでかるたをしていただきます。

 この「どぼくかるた」ですが、土木に対し多くの方々に関心を持っていただくことを目的として2021年に発行したもので、土木に関するキーワードについて、絵札はとてもかわいいイラスト、読み札はなるべく簡単な文章としており、誰でも楽しめる内容となっています。読み札の裏面には詳しい解説を載せており、大人の方の関心も得ています。

 土木に含まれるかなり広い範囲を網羅しており、防災,環境保全,資源循環,まちづくり,ダム,トンネル,橋,河川,道路,鉄道,空港,港湾など、土木全般が登場します。幾つかの札に描かれたキーワードについては、別途、ラミネートした写真や解説を用意しており、その札が読まれた際に、少し詳しい説明をつけ加えたりします。

 スタッフが読み手となり、来場者の家族や友達同士で対戦いただいたり、スタッフが相手となって対戦したりしますが、勝ち負けとなることで、子どもは大変盛り上がります。土木の仕事に従事される方からも専門的な単語が出てくることで楽しまれたり、また、それをきっかけにお子さんと普段の仕事について話されたりと幅広い方々に親しまれています。

 今回のふれあいフェスタでは、この「どぼくかるた」のイラストを用いてクリアファイルを作り、来場者にプレゼントしました。

 最後に、クイズラリーの答えあわせと粗品をお渡しして終わりです。

■土木ふれあいフェスタがもたらすもの

 さて、この土木ふれあいフェスタですが、毎年、秋に1回実施しており、また、夏には土木学会(四ツ谷)のイベント「オープンキャンパス」でも同様に幾つか体験イベントを提供しています。  いずれのイベントも半年くらい前より、時間をかけて準備するため、大変なこともありますが、イベントで回収するアンケートの回答で「楽しかった!」と言っていただけると、本当に励みになります。一般の方に土木を知ってもらう、という目的の達成度はなかなか計り難いですが、アンケートの「どの体験が楽しかったですか?」の回答に、橋梁やトンネル,水質など選ばれていると、来場者の方の印象に残り、

また、何か考える機会となっているのではないかと思っています。そして、何より、普段、建設コンサルタントや建設会社に所属する私たち委員自身が、来場者の方の反応を見て、自分たちの仕事を俯瞰して見る機会になっているのではないかと考えています。

 「オープンキャンパス」は、毎年、土木学会(四ツ谷)で開催していることもあり、毎年、来場していただけるリピーターも少しずつ増えてきています。そのため、何度参加しても改めて興味が湧き、新しく何か得ていただけるようなコンテンツを検討していかなければならないと思っています。一方、土木ふれあいフェスタは、1回/年、各地で開催しており、今後も、様々な土地で開催できればと考えています。もし、どこかショッピングモールなどで見かけましたら、ぜひ参加してみてください!

土木ふれあいフェスタの主催,協力は前述のとおりですが、その他、広島県での開催のため、復建調査設計株式会社,株式会社アイ・エス・エス,株式会社エイト日本技術開発の方々にご協力いただきました。この場を借りまして、フェスタの盛況に感謝申し上げます。

なお、土木学会コンサルタント委員会市民交流研究小委員会では、引き続き土木学会委員会HPや、SNS等で、土木と市民がつながる出来事やイベントを発信しています。こちらもぜひご覧いただければと思います 。

委員会HP  https://committees.jsce.or.jp/kenc02/

 委員会X(twitter) https://x.com/shimin_snswg

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