NPO法人社会基盤ライフサイクルマネジメント研究会 副理事長
NPO法人シビルNPO連携プラットフォーム 常務理事
横塚 雅実
■適疎な地域づくり事例の抽出
CNCP 通信 VOL.140/2025.12.5で「研究会のメンバーが、公表されている地域づくりの情報サイト等から、これからの地域づくりの参考となると考えて抽出した、よい事例の一部です。」と紹介しましたが、今回は具体的にどのように抽出したかもう少し説明したいと思います。
2023年夏、研究会は第3ステージに入り適疎な地域づくりの調査研究に入りました。事例を拾い上げるにはいろいろな方法があります。例えば以下のような方法が研究会でも示されました。
○国の地域活性化方策に呼応した事例
○地域再生法に沿った地方都市の動きの中の事例
○研究会員はじめNPO法人等での類似テーマの取組事例
○賛助会員の自社と関係ある自治体の適疎づくり的な事例
○地方の鉄道駅と街づくりをリンクさせている事例
○市町村のHPベースで紹介する地域活性への取組事例
○マルチハビテーションなど新しい動向に応じた事例
研究会ではどのような状況が適疎なのか、適疎の定義は何かなどの議論を進める一方で、2024年春には事例調査計画をまとめました。その中で事例の抽出は、政府の進める地域づくり・まちづくり政策の中で、事例集をまとめていたり、地域指定をしたり、優れた事例として賞を贈った事例の一覧をまず作成して、その中からそれぞれの知見とこれまでの議論をもとに研究会メンバーが適疎として推薦できる事例を選び出すことにしました。その元になる一覧は以下の通りです。

・ジャパンSDG’sアワード 平成29年~令和5年 内閣官房
・ふるさとづくり大賞 平成30年度~令和5年度 総務省
・重要伝統的建物保存区域指定 令和5年12月現在 文化庁
・地域のチャレンジ100 稼げるまちづくり事例集 平成29年3月 内閣府
・まち・ひと・しごと創生法にかかる地方創生事例集 平成29年1月 内閣官房
・デジタル田園都市構想 地⽅創⽣関係交付金の交付事例 平成29~令和5年度
・環境未来都市・環境モデル都市 内閣官房・内閣府 平成23年、同25年
推薦された事例の総数は233件に達しました。このうち都道府県にできるだけ分散して、メンバー複数名から推薦がある100件程度を抽出する議論を経て、ホームページに掲載した97件を選びました。ホームページに掲載するに当たっては、3行程度の紹介文章と、それを端的に表現する見出し文を工夫しました。また3行程度に要約するまでに、その前段として以下のような情報をできるだけ集め読み取ることにしました。
・何を狙いにして、いつから、その活動をしているのか
・活動の内容はどのようなことか
・どのような仕組みを持っているのか
・誰と誰が繋がっているのか
・何を対象にして、何を介在にして繋がっているのか
商品、産物、サービス、情報、体験、興味・関心、・・・・
・永く「続ける」仕掛けは何かあるのか
・何が新たに生まれてきたか
これらの情報がある程度集まるものは、A3判で現地写真なども載せた「事例照査シート」を研究会の内部資料として取りまとめ57件が完成しています。
現在、引き続き97件の事例調査シートを完成させるとともに、233件全ての事例がホームページに掲載できるよう作業を継続しているところです。

■更なる事例の抽出と、その先に目指すもの
同様な事例集は現在も以下のように多くあります。従って、当会もただ事例集を作りホームページに掲載するだけでは何の意味もないと思います。
| 行 政 ・中心市街地活性化に関する取組事例(内閣官房・内閣府) ・街元気・まちづくり事例集(経産省H29) ・大学による地方創生の取組事例集(文科相R3) ・繋がりを活かしたまちづくり事例集(中小企業庁R5) ・持続可能な観光の実現に向けた先進事例集(観光庁) ・農⼭漁村発イノベーション事例集(農水省R2) 民間等 ・地域共創事例集(経団連R6) ・地方創生事例集(全国地方銀行協会) ・事例集(地域活性化センター) ・事例集バックナンバー一覧(地域活性化センター) ・まちづくり事例(中心市街地活性化協議会支援センター) |
当研究会は「適疎」が、単に地域の人口増や所得の増加ではなく、地域が活き活きとワクワクしながら暮らしている様子であることを見てきました。そこで当研究会は今回の調査の狙いとして、これら地域のネットワークを作り、フォーラムなどのプラットフォームができるとよいと考えています。そして当研究会が、あるいはCNCPがその一助として寄与できればとよいと思います。街づくりのネットワークはただ束ねただけでは何の意味はなく、またその期待も薄いと思います。どのような情報を発信しサービスを提供するかを、ネットワークに加わった方々の希望をよく聞きながら、ゆっくりと進めていければよいと思います。
同時に当研究会に属するメーバーが、土木・建設業界のゼネコンやコンサルタントであることを考えると、企業として「適疎」にどのように貢献できるか、どこにビジネスチャンスを見出せるのかも一緒に考えていきたいと望んでいます。
ネットワークに加わってもらい、あるいは土木・建設業界と関りを持てそうな事例は233件のうち1割程度かもしれません。それでもこの活動は我が国の様々な社会課題解決の糸口のひとつに必ずなると思います。

