8月4日「橋の日」,宮崎発祥の取組を全国に発信
~「橋」への想いを,地域づくりの架け橋に~
宮崎「橋の日」実行委員会 事務局長代理
湯川 大介
1.8月4日「橋の日」について
8月4日(ハシ)「橋の日」は、昭和60年に宮崎県延岡市出身の湯浅利彦氏が提唱した宮崎発祥の記念日です。宮崎「橋の日」実行委員会は、昭和62年に設立し、宮崎市中心部の大動脈である国道220 号の大淀川に架かる橘橋において、第1回「橋の日」イベントを開催して以来、今年、37年目を迎えることができました。(写真-1) 当会ではこれまで、毎年8月4日に記念イベントを実施するとともに、シンボルマークやテーマソング、のぼり旗の制作等による広報活動、また、「橋」に関するポスターや紙芝居、絵本の制作等による地域に根ざした活動、さらには、橋の日サミットやシンポジウム等の開催による「橋の日」活動の全国への発信など、「橋」に関する様々な取り組みを実施しており、平成27 年には、「橋の日」活動が全国47都道府県まで拡大しました。
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2.「橋」への想い
私たちの生活に身近な川や谷、海、道路、鉄道などを越えて架かる橋は、日々の暮らしや産業経済活動、地域の歴史・文化などに密接な関わりを持っており、未来に受け継ぐかけがえのない財産です。そして、どの橋も、先人たちが知恵を生かし工夫を凝らしながら努力され、遺していただいた汗の結晶であることから、橋に感謝し、いつまでも大事にしたいものです。
(写真-2)
橋には、その地域の歴史を物語るロマンがあり、幼い日の懐かしい思い出があります。また、昔から「心の架け橋」、「愛の架け橋」、「橋渡し」、「石橋をたたいて渡る」など、数多く例えて使われているように、橋は、人・物・心・文化を渡し、人と人・地域と地域をつなぐなど、まさに架け橋となり、私たちに大きな恩恵を与えてくれます。このようなことから、宮崎「橋の日」実行委員会では、日頃、何気なく利用している橋とのふれあいを通して、橋の役割を再認識するとともに、道路・河川の愛護や浄化への意識を高め、ひいては郷土愛を深めるために、8月4日に記念イベントを実施しています。
3.8月4日当日のこれまでのイベント
平成6年には日本記念日協会から、念願であった8月4日「橋の日」の認定を受け、この頃より行政や民間企業等から様々な支援が受けられるようになりました。
8月4日の記念イベントにおいては、橋への感謝の気持ちを込めた献花や清掃活動を実施するとともに、参加する子どもからお年寄りまでみんなが楽しめるよう、吹奏楽部や合唱団等によるコンサートや、魚やうなぎの放流、打ち水大作戦、橋みがきなど、工夫を凝らした様々なイベントを実施してきました。(写真-3、4)
4.地域に根ざした活動として
活動10年目を迎えた頃から、8月4日の記念イベントだけでなく、地域に根ざした活動に力点を置くようになり、宮崎「橋の日」の実施会場である橘橋の歴史を調べていくうちに、福島邦成氏(私財を投じて「初代橘橋」を架橋した医師)の存在を抜きにして地域を語れないことを再認識しました。これを機会に、「福島邦成と橘橋」と題した紙芝居を制作し、現在も宮崎市内で上演会を続けています。(写真-5)
また、平成13年には、宮崎県内に現存する94橋の石橋をまとめたポスターを制作したところ、各業界の広報誌に紹介され、テレビ番組で特集が組まれるなど大きな反響があり、このポスターをきっかけに、県内で合計389橋の石橋が現存することが明らかになりました。 さらに、平成15年には、県民から応募いただいた県内の魅力ある橋、総数303橋の中から101の橋を選定した上で、「宮崎の橋101 選」ポスターを制作しました。この制作を通して、改めて地域を知り、愛するきっかけとなりました。(写真-6)
その他、平成26年には、寛文2 年(1662 年)に発生し宮崎県に大きな地震と津波による甚大な被害をもたらした日向灘大地震(とんところ地震)を題材に、県民の防災意識向上のための取り組みに活用していただくよう、紙芝居とDVD を制作し、県に寄贈しました。
このとんところ地震については、発生後50年ごとに地震・津波供養碑がこれまで7基建立されており、地域住民による供養祭及び供養碑建立が350年以上にわたり今日まで受け継がれています。このような地域の取り組みが、当会の活動と通じるものがあると考えています。
5.「橋の日」活動の全国発信
活動20周年を迎えた平成18年、全国発信の機会として以前から構想を練っていた「橋の日サミットin みやざき2006」を宮崎市で開催しました。メインイベントの「橋の日」パネルトークでは、パネリストとして、ほくりく橋の日実行委員会、東京橋の日実行委員会、奈良県十津川村役場、鹿児島橋の日推進協議会からお越しいただき、「橋から見る地域づくりとロマン」をテーマに、熱く語っていただきました。(写真-7)その後、活動25周年の平成23年、活動30周年の平成28年には、「『橋』を通じた地域づくりシンポジウム」を宮崎市で開催し、県外の専門家による基調講演や県内外の団体による事例発表等を行いました。(写真-8)
このような全国に広げる活動が実を結び、平成27年には、宮崎で生まれ育った「橋の日」活動が、全国47都道府県まで拡大し、同年、当会は日本記念日協会より「記念日文化功労賞」を受賞しました。(写真-9)
6.「橋の日」の新たな取組
平成29年からは、橋に感謝するだけでなく、市民目線で橋を含めた道路施設のメンテナンスにも興味を持っていただけるよう、国土交通省九州地方整備局宮崎河川国道事務所の御協力により、「橋の日」当日に、橘橋見学会と「道路老朽化対策」パネル展を開催しており、参加した小学生は、「すごい! コンクリートを叩くと、いろんな場所で音が違う!」と興味津々でした。(写真-10、11)
また、令和4年3月には、公益社団法人土木学会の「インフラパートナー制度」において、土木学会と連携・協力して、インフラ関連の活動の活性化、また、地域のインフラの質的向上を図る団体「インフラパートナー」として、宮崎県内の団体で初めて認定されました。(写真-12)
7.おわりに
慌ただしく、ただ繰り返す日常の中では、そこに「橋」があることに気づいていない人も多いのではないかと思います。本当に大切なものは、目に見えないものなのかもしれません。人はみんな、気づかないうちに誰かに支えられて生きていますが、「橋」も、私たちを支えてくれている、そういう気持ちにさせてくれるところに、「橋」の魅力を感じています。
8月4日「橋の日」記念日が、地域づくりの心の架け橋になるように、これからも宮崎発祥の取り組みを全国に発信し、広げていきたいです。