伊吹せんろみち
~米原市春照/住友大阪セメント廃線跡~
NTTビジネスソリューションズ
雲林院 ゆみ
1.絶景の中で、廃線跡を散策してみませんか?
今回ご紹介するのは、米原市春照の「伊吹せんろみち」。
ここには1952(昭和27)~1999(平成11)年の間、住友大阪セメントが機関車で資材を運ぶ、専用線が通っていました。線路が敷かれ蒸気機関車・電気機関車が通っていましたが、時代の流れとともに廃線に。役目を終えた線路は、地域発展の歴史を次の世代に受け継ぐために、住民参加型で、親子で遊べるサイクリング&ウオーキング遊歩道として整備されました。
約2.5kmの道の間は、2本のトンネル、当時の架線柱・橋梁跡・撤去されたレール・枕木・ホッパー跡など、見どころだらけ! 伊吹山をのぞむ美しい景色の中、安全に整備された道で貴重な遺構に触れられる、鉄道ファンなら要チェックのスポットです。是非、本稿と併せて、下記の動画を見てみてください。
https://www.webaminchu.jp/news/7434/
2.所在地
JR東海道本線の近江長岡駅より少し北へ、伊吹建設工業(米原市村木756)付近の県道244から脇に入った所からスタートです。すぐに東海道新幹線の高架下をくぐり、その先県道551を横断し、国道365と弥高川をくぐり、伊吹薬草の里(米原市春照37)付近まで延びます。薬草の里の横にゴール地点となる線路と駅舎モニュメントが建っています。その先には滋賀鉱産の砕石出荷場があり、その付近に住友大阪セメント伊吹工場跡が広がります。
3.鉄道遺構
1)鉄道橋梁
スタート地点には橋が残っていて、そこを渡って行きます。主桁フランジにレールが飾られています。ウェブの内側には「大阪窯業セメント株式会社1960年」と書かれた銘板が付いたままです。
2)その他の遺構
電気設備?信号?のBOX、ホッパー跡、枕木、レール、さらに架線柱も当時のまま何本も残されています。
工場ができた当初は蒸気機関車が活躍しましたが、ディーゼル機関車になり、昭和31年(1956年)に電化され、電気機関車いぶき501・502号が走っていました。
3)トンネル①②
今は国道の(官設)廃線跡と天井川をくぐる(専用線)廃線跡のトンネルというマニア的には面白い場所です。トンネルはコンクリートにて補修されているのが分かりますが、擁壁はそのままの姿で残っているようです。
4)終点の駅舎
終点には、駅舎風の休憩所が整備されています。公益財団が運営する「伊吹薬草の里文化センター」の一角になります。
■シリーズ「土木遺産の女」
滋賀県内各地に残る魅力的な土木構造物を、土木構造物大好きくものすけ副隊長がご紹介しています!
https://www.webaminchu.jp/news/?feature=civilianheritage-woman
■「伊吹せんろみち」の命名
米原市は、この廃線敷を遊歩道としてリニューアルした際に、愛称を募集したところ市内外から100点もの応募がありました。その中の最優秀作:坂田小学校1年生の作品です。