つなぐ活動 社会人・大学院生のための防災人材育成プログラム

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この記事は、CNCP通信○号よりホームページ用に編集して転載しています。

社会人・大学院生のための防災人材育成プログラム

徳島大学 客員准教授
(元徳島大学環境防災研究センター 特任准教授)
三上 卓

都道府県別防災士登録者数
(2022年5月末現在)

人材育成

東日本大震災以降、国や都道府県、市町村の自治体職員に加え、一般市民が“自助”“共助”に関わることが必要とされ、『防災士』を取得する機運が高まっています。2022年5月末現在、231,848名の防災士が日本防災士機構に認証されています。東京都19,185名、愛媛県17,984名、大分県12,382名と、都道府県によって取り組みに差が出ていることがわかります。

その一方で、『防災士』を取得したもののどのように活動したらいいのか、更なる知識・技能習得を目指す市民の方々や、自治体や企業の防災力を高めたいという要望も高くなっていました。

四国防災・危機管理プログラムとは

2014年、政府の地震調査研究推進本部から、南海トラフ巨大地震の30年間の発生確率が60~70%と公表され、四国地域でも危機意識が高まった中、香川大学と徳島大学では、「防災」「減災」対策を支える人材育成を目的に、『平成24年度文部科学省大学間連携共同教育推進事業』に応募し,「四国防災・危機管理特別プログラム共同開設による専門家の養成」事業の採択を受け、発足しました。

同プログラムでは、通常の大学における専攻とは異なり、研究科・専攻科横断型の特別プログラムであり,プログラム修了することにより各コース内容に沿った専門知識を身につけることができ、四国防災共同教育センターからコース修了認定が受けられるとともに,香川大学・徳島大学から「災害・危機対応マネージャー®」(商標登録番号5740983)の資格認定証が授与されます。

また、2019年には、文部科学省『職業実践力育成ププログラム(BP)』に採択され、それに伴い2020年には、厚生労働省『専門実践教育訓練』の指定を受けました(一定の条件を満たせば、入学金・受講料の50%(修了すれば+20%)の給付金受給)。

四国防災・危機管理プログラムのコース

プログラムでは、両大学の大学院修士課程に

  • 行政・企業・医療防災・危機管理マネージャー養成コース(香川大学)
  • 行政・企業防災・危機管理マネージャー養成コース(徳島大学)
  • 学校防災・危機管理マネージャー養成コース(徳島大学)⇒今年度は募集なし

の3つのコースが実施されています。修了年限は原則2年間。

四国防災・危機管理プログラムの充実した取り組み

本プログラムでは、専門コースを備えているとともに、国立病院機構災害医療センター、香川県医師会、香川県看護協会など救急救命教育の協力体制が整っている香川大学、また、徳島文理大学、NPO法人ホワイトベースとくしまなど学校防災教育の協力体制が整っている徳島大学、両大学の強みを活かしたプログラム編成を行なっています。プログラムは、2013年開講時から遠隔講義システムを利用することで、両大学の教育研究施設・設備を活用した多様な連携授業を各大学で受講できるメリットがあります。さらに、一昨年のコロナ禍から、Zoomによるリモート講義を行っています。

四国防災・危機管理プログラムのカリキュラム

『四国防災・危機管理プログラム』の授業科目は、次の5つの科目区分から構成されています。

2022年度に開講している授業科目は、以下の表のとおりです。

表-1 授業科目(2022年)

分類科目名単位数香川大学徳島大学双方向
必修リスクコミュニケーション
必修危機管理学
必修メンタルヘルスケア
必修防災・危機管理実習
必修行政・企業のリスクマネジメント  
必修行政・企業・医療のリスクマネジメント  
必修事業継続計画(BCP)の策定と実践 
必修事業継続計画(BCP・MCP)の策定と実践 
必修行政・企業防災・危機管理実務演習 
選択必修行政・企業防災・危機管理実務演習 
選択必修救急救命・災害医療実務演習 

四国防災・危機管理プログラムの授業の一例

本プログラムの授業科目の中で特筆すべきは、「防災・危機管理実習」です。この科目は、毎年秋に、一泊二日の実習を行っているもので、2021年は1日目香川大学、2日目徳島大学で実施しました。

  • 演習① DIG訓練(香川大学 野本先生)
  • 演習② HUG訓練(香川大学 萩池先生)
  • 演習③ (災害・危機対応マネージャー)
  • 演習④ 避難シミュレーションゲームの実践(徳島文理大学 山城先生)
  • 演習⑤ BCP訓練(徳島大学 湯浅先生)
  • 演習⑥ 総括DIG訓練(エイト日本技術開発 三上氏)

本実習は、それぞれの専門家が実践に即した訓練を企画・実施しているもので、例年、受講生からは、集中して実施していること、専門家が指導・講評していることから、好評を得ている実習です。

「災害・危機対応マネージャー®」への期待

冒頭で述べましたように、防災士を取得する市民が増え、その一方でその方々を指導する人材育成の一環として、本プログラムは実施されており、修了された「災害・危機対応マネージャー®」には、右図に示すような立場となって、「防災」「減災」に寄与してもらいたいと期待を寄せています。

「四国防災・危機管理プログラム」にご興味を持たれた方へ

2022年から香川大学および徳島大学ともに、遠隔地の受講が認められるようになりましたので、全国から受講することが可能となりました。講義時間は16:20-17:50か18:00~19:30となっており、自宅や会社にネット環境があり、カメラやマイク設備のPCがありましたら、遠隔地で受講が可能です。香川大学もしくは徳島大学に行くのは、上述した「防災・危機管理実習」の2日間と、「メンタルヘルスケア」の中のPFA(心理的応急処置)研修1日間のみです。

防災士を取得し、自治体や企業、地域での「防災」「減災」に更なる活躍を目指される方にお勧めです。興味を持たれた方は、『四国防災共同教育センター』のサイトをご覧ください。