「扇状地の都」藤岡換太郎・原田憲一共著

「扇状地の都」藤岡換太郎・原田憲一共著「扇状地の都」藤岡換太郎・原田憲一共著

「扇状地の都」藤岡換太郎・原田憲一共著

シビルNPO連携プラットフォーム 理事
元金沢大学 教授
世古 一穂

洒落た本がでた

京都の文化について社会科学的観点から書かれたものは多いなかで、本書は京文化の特色を地球科学的観点(特に地形と資源)から解明しようとした本である。

都市開発に携わる土木工学者、技術者が地盤と災害だけでなく地域資源にも目を向ける必要があることを的確に示唆する本でもある。

著者らはいう。

「東京への人口集中が進行しているが、遅くとも半世紀後には、東京の都市機能を支える石油エネルギーの枯渇が予測されている。また、早ければ十数年後にも巨大地震が首都圏を可能性は高い。地方都市への人口分散は急務である。」

従来の都市開発論では地盤と災害が考慮されることはあっても、地域の資源特性が注目されることはほとんど無かった。しかし、本書では、地方都市で発達していた伝統産業の多くが地元の資源特性を利用してきたことを手がかりに地域資源の活用を説く。

現在、資源制約は長距離・大量・高速輸送で回避されているが、石油エネルギーが枯渇すれば大量生産システムは崩壊する。そうなれば地域資源の有効活用が地方都市の地場産業育成の鍵となる。

本書から筆者は都市開発に携わる土木工学者は、地盤と災害だけでなく地域資源に目を向ける重要性を学んだ

2024年10月25日発行
小さな子社
ISBN:9784909782243
定価2,200円(税別)