「経営トランスフォーメーション~下水道ビジネスの変革者たち」奥田早希子著

「経営トランスフォーメーション~下水道ビジネスの変革者たち」奥田早希子著「経営トランスフォーメーション~下水道ビジネスの変革者たち」奥田早希子著

「経営トランスフォーメーション~下水道ビジネスの変革者たち」奥田早希子著

シビルNPO連携プラットフォーム 常務理事/事務局長
田中 努

著者の奥田早希子さんは、CNCPの理事ですが、環境新聞の記者として約11年間、水ビジネス分野を担当の後、独立し、経済学修士を取得、公民連携分野にも取材・活動分野を広げてきた方で、その得意分野の1冊です。

「環境新聞ブックレットシリーズ」というのは、環境新聞社が、様々な分野で、専門知識に長けた記者が解析した価値のある情報の内、特に読者の反響が大きかった連載記事をまとめて刊行している冊子で、この本はNO.17です。本書は、著者が取材し、2021年6月~2024年6月に「WEBジャーナルMizu Design」や「月刊下水道」に掲載された「下水道ビジネス界の経営トランスフォーマー」である15人の経営者たちの声です。

著者は、まえがきの中で、下水道事業における「技術」と「サービス」、これを「モノ」と「コト」だと見て、述べています。

高度成長期以降、整備の時代の下水道事業は、「モノ」が目的で「モノ」が重視されたが、2026年には下水道や汚水処理施設が概成すると言われる今、目的は、維持管理・更新による「サービス」の継続提供、つまり「コト」に変わっている。そう考えると、見えてくる景色がガラリと変わる。そして、「下水道サービス」の視点に立ち、いちはやく経営の主軸を「モノ」から「コト」へシフトできた会社が生き残る。経営戦略をどう変革(トランスフォーメーション)していくのかについての連続インタビューを一冊にまとめた。トランスフォーマーの声を通して、インフラ事業の羅針盤を示すことができれば幸いである・・・と記しています。

2024年7月26日発行
環境新聞社
ISBN978-4-86018-447-6
定価1000円(税別)

下水道事業に関わる方々にはもちろんですが、同じ時代に生きる他の多くの方々にも有用な一冊だと思います。NPOの運営も会社経営と通じるところは多いし、異業種交流や社外取締役も外の知恵を活かす策です。「モノ」と「コト」の認識は、故野村理事が、晩年、CNCP通信でしつこく力説していた「CaaS」、つまり「建設業のサービス化」に通じています。