SDGsとICTのハイブリッドな学び 「プログラミングで海のSDGs!」活動紹介

SDGsとICTのハイブリッドな学び 「プログラミングで海のSDGs!」活動紹介SDGsとICTのハイブリッドな学び 「プログラミングで海のSDGs!」活動紹介

一般社団法人 イエローピンプロジェクト 事務局長
三輪 愛美

◆事業の概要

「プログラミングで海のSDGs!」は、SDGs目標14番「海の豊かさを守ろう」をテーマに、主に小中学生に向けて、ワークショップや出前授業、イベントではSDGs講演会なども組み合わせた、プログラミング講座を全国で実施しています。

◆背景

子どもたちが、SDGsなど社会課題を学ぶ機会が増えている中で、社会課題に対して自ら情報を整理し考える力を身につけるために、子どもたちの自由な創造力や好奇心に合わせた、新たなSTEAM学習の場が必要です。また、文科省GIGAスクール構想などでICT教育を促進するように、自ら情報を整理し、自分の頭で考える力(=超高度情報化社会の課題を解決する力)を子どもたちが身につけるためのツールとしてICTが必要であると考えています。

◆目的・方針

・社会課題にたいして、自ら、情報を整理し、自分の頭で考える

・超高度情報化社会の課題を解決する力

・みんなが幸せに暮らせる、より良い社会を実現

そのために必要となるスキルを、 子ども達の自由な興味・関心や能力に合わせて 育成できる環境を 企業や地域と共に整えることが事業の目的です。

ICT(プログラミング)学習とSDGs学習を組み合わせることで、子どもたちにとってより効果的に、将来の社会や環境に対する新しい気づきを提供していきます。そしてこの気づきを、未来のみんなが幸せに暮らせる、より良い社会を実現することへとつなげます。

◆活動内容

<<ワークショップ>>

2019年より活動を開始し、「海洋プラスチックごみ」、「持続可能な漁業」、「海洋温暖化/酸性化」、「ブルーカーボン」をテーマにしたプログラミング教材を開発してきました。全国各地で開催するイベントでは、地域の環境にも興味をもってもらうために、地元の大学の講師や専門家の方々をお招きし、地域に関連したお話をしていただく機会を設けています。また、各地域で活動を継続させていくために、地元で活動している団体のワークショップも一緒に開催する場合もあります。2023年度は、北は宮城県、南は沖縄まで16か所で開催いたしました(オンライン含む。)。

2023年10月21日(土)・22日(日)福岡県福岡市でおこなわれた「全国アマモサミット2023inふくおか」でもワークショップを出展させていただき、「アマモ場」の再生について考える会議で、子どもたちに仮想の海で二酸化炭素をアマモで回収するゲーム作りを体験してもらいました。

粘土を使ったワークショップ
花園EXPOでのワークショップ

<<出前授業>>

2021年からGIGAスクール(一人一台)端末に対応することで、数多くの小中学校で出前授業が実施しています。

2023年度は、24校(うち4校オンライン)1294名の児童・生徒に参加していただきました。

その土地の特性(海無し県や、大きな湖等)や、地域の環境保全活動の話も取り入れながら、プログラミング授業と関連付けて進めています。ICTと環境保全は、ドローンを使って海洋ごみを識別したり、山でも人の立ち入れない場所を確認できたりと、今では深くつながっています。

出前授業では主に3種類のプログラミング授業を行っています。

【SC1:Scratchで海の生き物を救おう】

プログラミングでシャチを動かし、魚を食べさせてあげます。ですが、その中にプラスチックごみの魚が混ざっていることが分かり、ごみを避けるようにプログラミングをしていきます。そして、現実の世界では何が出来るのかを考えます。

【SC2:Scratchで作るプラごみ回収ロボット】

Scratchで正多角形を描き、囲った範囲の海ごみを回収します。小学5年生の算数で習う「プログラミングでの正多角形の作図」の学習・復習が体験的に学べ、次のステップにも活用できます。

【SC4:Scratchでブルーカーボンチャレンジ】

海で吸収される炭素「ブルーカーボン」をテーマにしたプログラミングワークショップです。 海の植物を使って、二酸化炭素を吸収するゲームを作りながら、海洋酸性化について学びます。

子どもたちのプログラミングへの新鮮な反応に和み、その適応力には驚かされる出前授業です。

◆最後に

プログラミングは、問題解決のために思考力を養うことを目的としており、問題の発見、問題を引き起こしている事柄を考察し、その解決方法を考えるという仕組みであるため、その性質上、普段は海に関心がない子どもたちにとっても、海の課題を能動的に自分ごと化できる仕掛けとなっており、この事業をきっかけにして、海が好きになった!という子どもが出てくることも期待しています。