旭川・買物公園の地域プラットフォームと連携したヒトとストリートをつなぐ挑戦
株式会社オリエンタルコンサルタンツ
関東支社 都市政策・デザイン部
都市計画ユニット 副主幹
青木 秀史

■はじめに ~買物公園で新たに始まった官民連携の動き~
・「買物公園エリアプラットフォームの設立」と「買物公園エリア未来ビジョンの策定」
旭川の中心部に位置する国内初の恒久的歩行者専用道路である平和通買物公園(以下「買物公園」という。)は、令和4(2022)年6月に開設50年を迎え、まちの顔である買物公園を軸とした中心市街地(以下「買物公園エリア」という。)のあり方が一層重要になっていることから、昨年令和6(2024)年3月に、買物公園エリアに関わる様々な立場の人で構成する官民連携の組織「買物公園エリアプラットフォーム」を設立しました。それに加え、買物公園エリアの今後のまちづくりの方向性・将来像や将来像実現に向けた取組みを描いた「買物公園エリア未来ビジョンver1.0」を策定しました。
買物公園エリアプラットフォーム(以下、「エリプラ」という。) ・役割:官民で情報や課題を共有しながら、同じ目標である未来ビジョンの実現に向けて、活動を行う ・推進体制:段階的(初動期・成長期・成熟期)に、体制と取組みをアップデートしていく |

■買物公園社会実験の取組み
・官民連携による「人中心の居心地の良さ」の追求を通じた“暮らしで利用される姿”への再挑戦
未来ビジョンの体現に向けて、買物公園エリアプラットフォームが主催となり、令和6(2024)年8月から約1か月間にわたる買物公園エリア社会実験を実施しました。
社会実験では、「居心地の良い滞在空間の設置」と「移動を支援するモビリティの活用」などを通じて、まち=買物公園エリアで過ごす日を「まちの日」=「まちにち」と呼んでもらい、この社会実験をきっかけに、市民の「まちにち」がだんだんと増えていき、毎日が「まちにち」となることを目指し、その周知・発信のため、実験タイトルとロゴを作成しました。

・社会実験実施に向けたエリアごとの官民連携体制の構築
今回の社会実験では買物公園エリアへの来街を促すとともに、人の流れを買物公園全体に広げるため、「歩いても良いと感じる距離」を目安として、買物公園という一つの通りの中で、4箇所に滞在空間を設置しました。滞在空間の設置にあたっては、4箇所ごとの特性等に応じた滞在空間のデザインやコンテンツを実施するため、エリアプラットフォームメンバーからエリアごとのディレクターを選出し、その他エリプラメンバーも加わり、4つのプロジェクトチームを組成しました。
その後、社会実験実施に向けて、プロジェクトチームごとに企画を検討しながら、各エリアのディレクターが集まるディレクター会議、全体会であるエリアプラットフォーム会議で検討情報の共有とエリア間連携を図りながら、滞在空間・コンテンツの内容を詰め、社会実験実施に至りました。


・買物公園社会実験“まちにち計画~わたしたちの毎日をつくる28日間~”の概要
実施期間 | 令和6(2024)年8月11日(日)から9月7日(土)まで ※内容によって、期間が異なります。 |
実施内容 | ①滞在空間の設置 ②バスキングエリアの設定 ③モビリティの活用(電動カートの定時運行、電動車いす(WHILL)のレンタル、電動キックボードの乗車体験ツアー) |
主催 | 買物公園エリアプラットフォーム/旭川市 |
協力 | 旭川市中心市街地活性化協議会/㈱ホンダカーズ旭川 |
滞在空間什器製作 | 合同会社Kochia(コキア) |
ロゴタイプデザイン | 安達 鈴香 |
ディレクター | 1条:佐々木 亮、4条:佐藤 祐哉、5条:四戸 秀和、7条:蜂須賀 咲来 |

■おわりに ~社会実験の成果を踏まえ~
今回の社会実験では上記と併せて、来街者や出展者、沿道事業者に対する各種調査を通じた効果検証を行っています。その成果を通じて、昨年度策定した未来ビジョンの実現に近づけるよう、今後のエリプラとしての取組みの立案や社会実験での試行的な取組みの実装化等の支援に関して、引き続き、検討・提案していきたいと考えています。
■取組みに関する参考URL ※社会実験成果等を取りまとめたアーカイブブックも今後公開予定
・買物公園社会実験:
https://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/kurashi/408/800/d079951.html
・買物公園エリアプラットフォーム:
https://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/kurashi/408/800/d079684.html