脱炭素・ネイチャーポジティブ実現を目指してみんなで考え取り組む「海づくり」

脱炭素・ネイチャーポジティブ実現を目指してみんなで考え取り組む「海づくり」脱炭素・ネイチャーポジティブ実現を目指してみんなで考え取り組む「海づくり」

一般社団法人ふくおかFUN 代表理事
大神 弘太朗

◆団体について

みなさんこんにちは、ふくおかFUNの大神と申します。当団体は、スキューバダイバーを中心に「ダイバーだからこそ」の視点から福岡の海における水中世界の魅力や課題、人々との生活とのつながりを一人でも多くのひとに伝え、海洋課題を解決していくことを目的に活動しています。

◆海の魅力について

海には言葉では表せない魅力がたくさん詰まっています。私たちが活動拠点にしている博多湾にもたくさんの生き物たちが生息しており、四季折々の顔を見せてくれます。(写真1、2、3)そんな海の魅力を知ることが海を守っていく原動力になっています。

(写真1、2、3 福岡の海に生息する生き物たち)

◆海の課題解決に向けて

設立当初から地域の自然環境と共生し、次世代に受け継ぐための取り組みを進めてきたことで、海洋環境に対する関心が地域社会の中に徐々に広がりつつあります。しかし、気候変動や生物多様性の喪失が進むなか「脱炭素社会」と「ネイチャーポジティブ」の実現に向けて、更なるスピードアップが必要であると感じています。

特に、海洋環境においては、CO₂を吸収・固定する「ブルーカーボン」として、アマモやアマモ場(写真4、5)の価値が注目されています。アマモは大気中のCO₂を長期にわたって海底に固定することで、地球温暖化の緩和に貢献するほか、沿岸生態系の生物多様性を支える重要な役割を担います。近年、沿岸部の環境悪化によりアマモ場の減少が深刻化していますが、環境問題の緩和や生物多様性の回復につなげるためには、これらを再生する必要があります。磯焼けと呼ばれる藻場の喪失も深刻な問題です。(写真6、7)しかしながら、地域社会における海洋環境の現状理解が不足しており、また、地域住民や次世代を担う若者による環境への関心を高める機会が十分ではないことも、大きな課題です。

(写真4、5 海の課題解決に欠かせないアマモ場)
(写真6 海藻が生い茂る沿岸)(写真7 同じ場所が磯焼けしている状況)

◆活動について

これら様々な問題を解決するべく、ふくおかFUNでは水中の調査・撮影、海底清掃(写真8)、多様な主体と連携したクリーンアップ活動(写真9)、シュノーケリング体験、授業講演(写真10)、海や川の生き物観察会など活動は多岐に渡る活動を行なっています。私たちの活動は全てに「対話」があり、その時間を通して学び、気づき、行動することを大切にしています。時にはイベントを企画し自然環境を知っていただくための啓発(写真11)を行なうこともあります。

(写真8 海底清掃の様子) (写真9 多様な主体が連携したクリーンアップ活動)
(写真10 授業や講演は年間80本ほど) (写真11 若い世代を中心とした啓発イベント)

私たちが目指す姿は、自然と人とのバランスを考え調和した社会です。誰かを責めるのではなく折衷案を考える形で未来を見つめていきたいと考えています。その中で「自然と人のつなぎ役」として常に現場に出続けることで自然環境の「今」を正しく汲み取り、価値観の違う主体同士が風通しよく関われる環境を整えていくことに全力を注いでいます。

最後まで文章をお読みいただき心より感謝申し上げます。山川里海すべてが繋がっていることは皆さんもご周知の通りです。しかしその全てを正しく理解している人は誰もいません。一人ひとりの行動は小さいかもしれませんが、みんなで力を合わせれば必ず地球の未来は明るくなります。これからも前向きに活動を続けていきますので、どこかの現場でお会いできる日を楽しみにしています!

団体HP:https://fun-fukuoka.or.jp/