「美し国への景観読本」 -(特非)美し国づくり協会20周年を期に-「美し国への景観読本」 

「美し国への景観読本」 -(特非)美し国づくり協会20周年を期に-「美し国への景観読本」 「美し国への景観読本」 -(特非)美し国づくり協会20周年を期に-「美し国への景観読本」 

東急建設株式会社/土木事業本部 技術統括部/環境技術部 環境保全グループ
金内 敦

1.東急建設の環境社会貢献活動について

 当社は、地球環境の保全に全力を挙げることを1997年に制定した「環境憲章」で宣言しました。環境憲章の行動指針では「社会との協調」を掲げ、地域の環境保全活動などを通じて社会に対する責任を果たすとしています。

 今回、環境社会貢献活動として13年継続開催している都立青山公園での生き物観察会を紹介します。

2.都立青山公園の生き物観察会の取組について

 当社では、2012年度より都立青山公園サービスセンター(以下、サービスセンター)からの共催依頼を受け、生き物観察会の企画・運営に継続的に携わっています。この観察会は、地域の子どもたちに都心の緑や生き物を観察・体験する機会を提供し、自然の重要性や魅力を学んでもらうことを目的に実施しています。開催当初は、主に小学生を対象とし、公園内の掲示板などにより公募で募集した参加者を迎えて開催しました。

 2018年度からはイベントの形態を変更し、港区立青南小学校(以下、青南小学校)の3年生を対象とした課外授業を実施しています。2020年度と2021年度には新型コロナウイルス感染症の流行により、屋外で活動する従来の形態での実施が困難になりました。そこで2020年度は青南小学校の教室での授業、2021年度はオンライン開催により取組を継続しました。2022年度からは従来の公園内で実施する形態で防災機能、水辺ビオトープなどのプログラムを提供しました。

3.実施プログラムについて

イベントの企画・運営は、当社の実施した生物調査結果などを活用し、サービスセンター職員の方に対し、プログラムや運営方法を提案、打合せを重ねて実施しています。

活動後にはヒアリングやアンケート、スタッフの振り返りを行い、その結果を基に内容の改善を行いながら継続しています(右表参照)。

これまで「樹皮と葉の観察」、「生き物マップ」、「葉っぱアート」、「観察ポイント」、「コースター」、「生き物クイズ」、「ツルグレン装置」、「防災機能」、「水辺ビオトープ」など様々なプログラムを実施してきました。

 代表的なプログラムとして、「樹皮と葉の観察」、「葉っぱアート」、「生き物クイズ」、「簡易ツルグレン装置」、「水辺ビオトープ」を紹介します。

1)樹皮と葉の観察(2012年度)

様々な形態を持つ樹皮と葉の特徴を視覚や触覚を通じて体験し、植物に対する興味を持ってもらうことを目的に「樹皮スケッチ」、「葉っぱコレクション」を実施しました。

 「樹皮スケッチ」はスケッチ用紙を樹皮にあて、鉛筆でこすることで、樹皮の凹凸などをスケッチし、樹種毎の違いを比較してもらいました。

 「葉っぱコレクション」は、参加者が園内の樹木の葉を用紙に貼り、葉の形状など特徴を観察しました。

2)葉っぱアート制作(2015年度)

当日実施するプログラムは、参加者へのヒアリングやアンケート、スタッフの振り返りにより、毎年見直し改善しています。

 植物の観察は昆虫の観察に比べ興味が低い傾向が見られ、楽しく植物に接してもらうために「葉っぱアート」を実施しました。  台紙となるボードに園内で採取した葉っぱをボンドで貼り付けて制作し、園内での展示を行いました。

葉っぱアートの様子

3)生き物クイズ(2017~2024年度)

楽しく生き物について学ぶことを目的に、生物調査結果も活用し、園内で生育、生息する「生き物クイズ」を実施しています。

 また、チャドクガやハチ類などの危険な生物がどこに生息し、どんな点に注意すれば良いのかといった自然観察の留意点も出題しました。

 青南小学校の課外授業では、文部科学省の学習要領も参考に、クイズを作りし出題しています。

生き物クイズの様子

4)ツルグレン装置(2019~2022年度)

日常生活の中で、観察の難しい土壌生物の観察と、土壌生物と土壌生成の関係性を説明し、自然や生物多様性に対する興味を持ってもらうことを目的に「簡易ツルグレン装置」を活用したプログラムを実施しました。

 装置は廃材を有効活用する観点から、ペットボトルを利用し制作しました。

簡易ツルグレン装置

5)水辺ビオトープ(2023~2024年度)

園内の生物調査、周辺の環境調査から明るい池や水田を好むシオカラトンボなどを目標種に水辺ビオトープを計画、作製しました。

 これまで「生物調査データを活用し低コストで遊び通じて楽しく学ぶ」をコンセプトに実施しており、今回もホームセンターなどで購入できる低コストの材料で作製しました。

 作製後、毎日の管理を公園協会職員の方に行って頂き、観察会当日トンボ類の幼虫を確認できました。

水辺ビオトープの様子

4.参加者アンケートと今後の活動

公募で実施した2012年~2017年度の保護者を含む参加者数は、2012年度(第1回目)に子ども、保護者を合わせて10名でした。複数回参加のリピーターを含む概ね20名が参加するイベントになり、特に2016年度は50名が参加して頂きました。  2018年度~2023年度の青南小学校は、3クラス約100名を対象に行っています。2023年度に実施したアンケートでは「とても楽しかった」が約7割、「公園が好きになった」が約7割、「虫が好きになった」が約5割であり、公園の魅力や身近な自然の重要性を発信できました。2024年度には小学校に加え、児童館からの開催依頼も受けました。

この取組は、「子どもたちの反応を見ながら、内容をブラッシュアップし、10年以上にわたり活動しており、継続性は貴重」と評価頂き東京都公園協会賞奨励賞(ボランティア・社会貢献活動部門)を受賞致しました。今後もCSR活動として、プログラムを改善しながら、取組んでいきます。

東京都公園協会賞