土木と学校教育会議検討小委員会
土木と学校教育フォーラムを通じた活動のご紹介
土木学会/土木と学校教育会議検討小委員会 幹事長
(東海国立大学機構名古屋大学 特任准教授)
中村 俊之
■土木と学校教育会議検討小委員会について
「公共の精神」「環境の保全」「伝統と文化の尊重」等が初等中等教育の基本目標として掲げられており、こうした基本目標の達成するためのテーマとして、河川や構造物、交通、都市・地域や防災に関わる土木における種々の営みが挙げられています。
新しい教育基本法の考え方を十分に踏まえつつ、初等中等教育における児童・生徒のシチズンシップ教育に資することを企図し、道や川、まちといった様々な社会基盤・公共財を題材とした初等中等教育のあり方を考える、そしてそれを具体的に実践していくことを目的として、私たちの小委員会では平成20年から活動しています。
■土木と学校教育フォーラムについて
異なる分野の人たちが同じ時間を共有する、言葉にすると簡単ではありますが、実際にはなかなか難しく、皆さんも日常生活や業務を通じて感じているのではないでしょうか。私たちは、主な活動として、全国の土木と学校教育の双方の専門家と実践者が集まり、種々の研究発表、事例紹介を行い、討議する場として、「土木と学校教育フォーラム」をこれまで年1回、合計14回開催してきました(下図表)。
土木と学校教育フォーラムでは、第4回から、開催テーマを決めた開催、例えば、我が国に甚大な被害をもたらした2011年の東日本大震災後は、5年間「防災」(第5~9回)、2021年(第13回)はSDGs、今年の2022年(第14回)は学校現場におけるICTをテーマとして参加者の皆さんとのディカッションを行い、参加者皆が学べるフォーラムを開催してきました。
土木学会での会場収容人数に制約もありますが、これまでのフォーラムで対面での参加は1,000名を超え、近年はオンラインでの開催も行っています。
土木と学校教育フォーラムの特徴の1つに、実際に小中学校・高校の先生をお越しいただき行う、「実践研究報告」があります。この実践研究報告では、参加者が実際の小中学校の生徒役となり、学校での授業を体験してもらいます。
第14回フォーラムでは、文部科学省のGIGAスクール構想において1人1台の端末(PC/タブレット)と高速ネット環境時代における中学校での授業、また、ARで体験する土木現場を実際にスマートフォン、タブレットを用いて、体験してもらいました。個別最適な学びや「生きる力」の育成、「主体的・対話的で深い学び」の実現を目指す中で、「土木」が持つ教育的資源を生かし、どのように今ある授業(学び)を充実したものとできるのかを模擬授業を通じて、どのように現場で実践されているのかを学ぶことができます。
■土木を題材とした各種教育のあり方の検討とその実践
私たちは土木と学校教育フォーラムの開催以外にも、これまでのフォーラムを通じて、学んだことを反映した書籍の出版や実際の学校で『「防災まちづくり・くにづくり」を考える』ための副読本の製作を行いました。この副読本は、内閣府(防災担当)・文部科学省・(公社)土木学会が連携・協力したもので、実際に副読本を用いて、小中学校の先生による授業も展開されています。
学習教材『「防災まちづくり・くにづくり」を考える』、は以下の内閣官房のウェブサイトからもダウンロードする、冊子希望の場合は問い合わせることができます。
(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kokudo_kyoujinka/textbook.html)
■小委員会のメンバー
土木分野・教育分野に所属する学識者・コンサルタント・行政等で小委員会メンバーは構成されています。教科書編纂に携わる学識者もおり、学習指導要領の中で「土木」をどのように扱うのか、実際の現場での「土木」を素材して、単元に即した授業の実施など、教育現場のニーズに即した取り組みを実践しています。
委員長:藤井聡(京都大学)、幹事長:中村俊之(名古屋大学)
委員 :唐木清志(筑波大学)、工藤文三(浦和大学)、末武義崇(足利工業大学)、谷口綾子(筑波大学)、寺本潔(東京成徳大学)、原文宏(一般社団法人北海道開発技術センター)、日比野直彦(政策研究大学院大学)、福本大輔(一般財団法人計量計画研究所)、松村暢彦(愛媛大学)、宮川愛由(京都大学)、山ノ井壽昭(一般財団法人全国建設研修センター)、森本晋也(文部科学省)
■おわりに
2023年夏に、第15回土木と学校教育フォーラムを開催にむけて、現在準備を進めています。
「土木」と「教育」に興味のある、どなたでも参加・出席を頂けます。詳しくは下記HPよりアクセスください(https://committees.jsce.or.jp/education04/)。