つなぐ活動 目の不自由な人の安全のために ~鉄道安全研修施設で体験学習会~

つなぐ活動 目の不自由な人の安全のために ~鉄道安全研修施設で体験学習会~つなぐ活動 目の不自由な人の安全のために ~鉄道安全研修施設で体験学習会~

目の不自由な人の安全のために 
~鉄道安全研修施設で体験学習会~

鉄建建設株式会社 経営企画本部 広報部
野地 奈央子

1.鉄建建設について

弊社は、1944年に日本の陸運輸送力の確保と増強のため、鉄道建設専門の国策会社として創立されました。現在は、創業以来の鉄道分野を強みとし、土木事業と建築事業を中心に国内外で事業を展開しています。

2.安全研修施設を活用した体験学習会

弊社の建設技術総合センター(千葉県成田市)には、約150mの複線軌道(実習線)や、対面式の駅のホーム、踏切、跨線橋、さらに工事状況再現エリア、軌道変状再現エリアなど、実物と同じ鉄道設備を設置しています。日頃は、弊社の社員教育や、鉄道工事に携わる他の建設会社、鉄道事業者、設計コンサルタント会社の方々を対象にさまざまな研修を実施しています。

2011年に千葉県立千葉盲学校から、生徒が鉄道を安全に利用するための学習会の相談を受けたことをきっかけに、視覚障がい者の方に向けた体験学習会を開始しました。

実物どおりに再現された鉄道施設・設備

3.本格的な施設だからできる体験

体験学習会では、実物どおりに再現された線路やホーム上の設備などに実際に触れることで、駅や鉄道の仕組みを知っていただくことができます。参加者の皆さんは、実際に線路に降りて転落するとホームに上がることの難しさを体感したあと、ホーム下の待避所への避難やホームステップの使用など万が一線路に転落した際の退避行動を実践していただいています。

また、研修センターでは、学習会の参加者の地域が限定される場合には、最寄り駅の駅施設や踏切などを事前に確認し当日の説明に取り入れるなど、より充実した学習会となるよう努めています。

4.体験学習会の様子(写真は日本盲導犬協会ユーザーの会の皆さま)

ホームドア開閉の動作を確認
レールや枕木に触れる体験
万が一の際のホーム下退避を体験
盲導犬と踏切を横断

5.参加者からのメッセージ

普段から利用している駅のホームですが、安全のために用意されている設備を一度も利用したことがありません。(もちろん、利用しないに限りますが)それらを実際に体験することができ、大変ためになりました。
今回のような学習体験会を長く待ち望んでいました。貴重な体験をさせていただき大感謝です。教わったことを他の方にも伝えていきます。
ホームにある緊急通報ボタンを押すという些細な行為でも、実際に体験することで、そのボタンの位置、高さ、やわらかさ、押す力の入れ具合などがよく理解できました。あせらず考え、行動するために必要な貴重な経験になりました。
自分が事故に合わないように注意するとともに、同じ障がいを持つ仲間にも注意喚起していきたいと思います。

6.終わりに

千葉盲学校の体験学習会の様子をホームページやSNS、新聞取材などを通じて情報発信したことで、他の団体の方からも多数の申し込みがあり、現在もその輪は広がっています。2022年12月までに通算34回実施し、計620名の方が参加しました。弊社のこの取り組みが、ひとりでも多くの方の鉄道施設の安全利用に繋がることを願うとともに、今後もこの体験学習会の輪が広がるよう情報発信を続けていきます。