我が国の社会基盤は、戦災復興から高度成長時代を経て今日まで目覚ましい勢いで整備されてきたが、近年は情報化や国際化の進展により経済や国民生活のシステムが大きく変動しており、将来の社会基盤の在り方について改めて多角的な議論をすることが必要になっている。さらに我が国は少子高齢化や災害の巨大化などに加えて、社会基盤そのものが老朽化してきたという深刻な事態に直面している。これらに対して国家的プロジェクトとして解決を図るべき多くの重要な課題が残されている一方、地域特有の課題も山積しており、それぞれの地域社会に密着した課題解決が求められている。
多岐にわたる地域の課題に挑戦していくためには、中央に依存してきた20世紀型の社会構造から抜け出し、地方自治体あるいは民間・市民の力を活動の推進力としてより強化することが重要である。例えば「新しい公共」や「共助社会」として議論されている行政や市民を含む様々な主体が双方向に連携・協働していく21世紀型パラダイムへの移行が求められ、いままさにその途上にあるといえる。そのような新しい連携・協働を推進する役割を担うのが、特定非営利活動(NPO)法人などサードセクターと呼ばれる組織である。
このような制度については、福祉や教育といったソーシャルケア面では新たな取り組みがなされ、すでに様々な実績を上げている。一方、社会基盤形成にかかわる分野においては、その対応が大変遅れている。その背景には、関連するNPO法人そのものの未成熟があり、かつ様々な主体が双方向に連携・協働していくシステムの未発達がある。
そのような視点で土木学会の関連委員会で4年余にわたり議論して至った結論が、孤立的に活動してきた関連NPO法人の連携・ネットワーク化の必要性であり、その具体策としての中間支援組織の設立であった。さらに今日まで2年間にわたり、30余NPO法人による土木学会(仮称)建設系NPO連絡協議会において、その組織のあるべき論と活動の具体論を協議することにより、組織の内容が明確にされた。
この度、こうした思いに意を尽くしてきた委員会・協議会の議論をベースにし、それに賛同する多くの個人、法人の支援を得て、特定非営利活動(NPO)法人「シビルNPO連携プラットフォーム」(英語表記:Civil NPO Collaboration Platform 略称:CNCP)を設立することにした。この中間支援組織は、情報交流、政策提言、調査研究、事業化、人材開発および関連組織とのネットワーク化などの幅広い活動を通じてNPO法人の基盤強化をはかり、行政や企業、教育・研究機関、そして地域・市民組織とのパートナーシップを通じて、より良い地域社会の構築を目指すものである。
平成26年1月