土木コミュ+IP(インフラパートナー)(3)
土木と市民社会をつなぐフォーラム&土木学会インフラパートナーG 幹事長
CNCP 常務理事&事務局長
(メトロ設計 取締役)
田中 努
■「土木コミュ+IP」を始めました
「土木学会 土木広報センター インフラパートナー・グループ」については、4月号に紹介し、この「土木コミュ+IP」は、先月5月号から始めました。
「土木広報センター」は、土木と市民をつなぐ面白い活動を、精力的に展開しています。世の中には、知らないから見ないだけで、見てみると面白い!っていうのは、沢山ありますね。ここ「土木コミュ+IP」では、土木広報センターとインフラパートナーの取り組みを紹介していきます。
■インフラパートナー団体
先月号で、インフラパートナー団体のサイトと案内を、北海道から中部・北陸まで10団体を紹介しました。今月は、関西から九州まで8団体を紹介します。是非、それぞれのサイトをご覧ください。
●関西(土木学会:関西支部)
●シビル・ベテランズ&ボランティアズ (CVV):関西圏【CNCP通信:2022年2月 Vol.94】
当団体は1996年4月に関西在住の土木技術者により構想され、シニア技術者の土木分野での社会貢献を目指して継続的に活動してきた。その後、創設期メンバーの高齢化が進んだことから新たなメンバーを招集するとともに、2016年度からは土木学会関西支部の支援を受けて活動している。
具体的な活動としては、年一回の総会・ワークショップとともに2カ月に一回程度の定例会を開催しメンバー相互の情報共有、意見交換を図っている。また、メンバーの自主的提案により以下のような活動を展開している。
・「浪速の名橋50選」の調査・広報を実施している。また、それらの成果を活用した行事として、大学生・高校生との橋めぐり、関西支部「ぶら・土木」やOsaka Metro「ぶらりウォーク」への協力等を実施している。さらに、大阪府内の浪速の名橋50選追加調査や関西の土木遺産の調査・広報活動も実施している。
・自治体等の支援活動として、神戸市「土木の学校」への支援、西宮市若手職員研修や近畿地方整備局「スペシャリスト技術会議」への講師派遣、地盤工学会関西支部主催セミナーへの協力なども行っている。
●NPO法人 あすの夢土木:大阪府 大阪市【CNCP通信:2022年1月 Vol.93】
NPO法人 あすの夢土木は、建設産業が夢のある産業であることを広く一般に知ってもらい、次代を担う人材を確保できるよう、産学官が連携して取り組む組織として設立しました。平成22年8月に「土木夢づくり懇談会」を立ちあげて、建設業の広報のあり方や人材確保に必要な方策などを検討し、平成26年9月に発足。300人を超える産学官からなる個人会員と活動に賛同して頂ける企業らによる賛助会員、団体会員で構成しています。
これまで学会、行政、業界団体、建設業各社が個別に行ってきた広報や人材確保の取り組みを横断的にまとめて、国民との間にPublic Relations(PR)を構築し機能させていきたいと考えています。
活動は、小中学生らを現場に招待したり、学校で土木に関する授業を行う出前講座を行ったりするほか、「関西夢プロジェクト発表会」「参加型技術講演会」といった若手土木技術者による交流・勉強の場も提供しています。また、シンポジウムや学生に土木への就職の参考にして頂く「学生のためのキャリア支援 ~相談にのります、将来への道づくり~」、会員間の情報交換・交流を促進する「会員交流会」など、活動は多岐にわたっています。 建設技術者を「夢の持てる職業」にし、誇れる産業であることを発信し続ける活動を今後も展開してまいります。
●中国(土木学会:中国支部)
●しゅうニャン橋守隊:山口県 周南市【CNCP通信:2021年12月 Vol.92】
しゅうニャン橋守隊(CATS-B:Civilian Activity Team in Shunan for Bridges)は、インフラメンテナンスに危機感を抱いた有志の声掛けから始まった産・官・学・民のメンバーからなる任意団体であり、山口県周南市を拠点に2015年8月4日(橋の日)から活動しています。
本隊は、その名の通り猫のように気ままに不定期に集い、インフラに関する簡単な座学と身近な橋梁の清掃や簡易点検を行うことで、インフラ施設の重要性を啓発し、現状を伝え、日常生活の延長線上で実施可能なメンテナンス体験を「家族で“楽しみながら”参加できる体験型アクティビティ」と位置付け、その機会を提供しています。
本活動は、管理者の目が行き届きにくい橋梁を地元の建設技術者や利用する地域住民が清掃・点検することで、インフラへの愛着心から活動の持続性が生まれ、それが延命化の一助にならないかとの想いから始まったものですが、活動を継続してきた中で、普段「土木」に携わらない人達がメンテナンスへの理解を深めながら、インフラそのものに興味を持つ姿も見受けられたことから、「土木」の価値向上や将来的な担い手確保にも期待し、土木広報の要素も加えて活動を継続しています。
●四国(土木学会:四国支部)
●かがわ里海大学協議会:香川県【CNCP通信:2022年3月 Vol.95】
香川県では、「人と自然が共生する持続可能な豊かな海」の実現を目指して、全県域で、県民みんなで、山・川・里(まち)・海を一体的に捉えて保全・活用していく里海づくりに取り組んでいます。
『かがわ里海大学』は、里海づくりに求められる人材育成を目的とした「学びと交流の場」で、平成28年4月に、香川県と香川大学が共同で開校しました。
「大学」と言っても、特定の校舎も入学試験もなく、海岸をはじめとしたさまざまな場所を舞台に、どなたでも参加できる講座を、年間30講座ほど開講しています。海と楽しく親しむ講座から、里海の理解を深める講座、さらにスキルや知識を高める講座まで、興味のある講座を選んで受講することができます。
●四国防災八十八話・普及啓発研究会:徳島県・香川県【CNCP通信:2023年8月 Vol.112】
四国防災八十八話・普及啓発研究会は「~先人の教えに学ぶ~四国防災八十八話(企画・発行:国土交通省四国地方整備局)」に記載されている四国の災害に関する言い伝えや体験談とその教訓を普及啓発することを目的に、令和2年4月に発足しました。
四国防災八十八話を知り、その場所に行って”学ぶきっかけ”となるようにイラストマップを作成し、各所で災害の教訓について,普及啓発活動を行っています。なお、マップは令和3年3月に徳島県版を、令和4年7月に香川県版を作成し、今後は高知県、愛媛県と作成予定です。本マップは、一般社団法人四国クリエイト協会の協賛を得て、四国防災八十八話・普及啓発研究会が企画し、徳島大学環境防災研究センターが発行しています。
●九州(土木学会:西部支部)
●噂の土木応援チーム デミ-とマツ:長崎県・福岡県【CNCP通信:2022年7月 Vol.99】
2016年4月結成。噂の土木応援チームデミーとマツは、日本の土木の役割や大切さを子供たちに伝えるために工学博士で土木技術者の出水享(デミー)と松永昭吾(マツ)が結成したユニット。
小中学生を中心に実際の土木現場でコンクリートの吹き付けを行ったり、マンホール蓋の絵付け体験を行ったり、岩盤の爆破を行ったり、ハイテク建機で遊んだり、普段学校で学べない土木体験を通して土木の役割、土木の大切さ、また、土木現場で働く土木マン、土木ウーマンのかっこよさを伝える活動をボランティアで行っています。
結成当初は、二人で活動を行っていましたが、現在は我々の活動に賛同してくれた女性3人(マネージャー:カズミン、専属イラストレーター:ハナユキ、専属カメラマン:チエゾウ)が加わり、「チームデミーとマツ」として活動を行っています。デミーとマツの活動は話題を呼び、今までにテレビ、新聞、ラジオなどに500件以上掲載・出演しましました。
●道守養成ユニットの会:長崎県【CNCP通信:2022年4月 Vol.96】
2017年11月28日設立。長崎大学大学院工学研究科インフラ長寿命化センターが実施する道路インフラの維持管理技術者育成講座である『道守(みちもり)養成講座』で学んだプロの技術者集団。みんなの街の道を守る(メンテナンス)活動をボランティアで行っています。メンバーは、主に長崎県内の建設従事者・官民土木系技術者で構成されています。長崎県内の8地域(長崎、佐世保、県央、島原、下五島、上五島、壱岐、対馬)と県外を合わせた9つの地域部会で構成され、それぞれの地域で、道守活動を行っています。活動の3本柱として、①道の異常点検や安全パトロール、②道を守るための最新の維持管理技術の習得、③高校生や若手技術者への維持管理技術の継承・伝承があります。
我々は『道の町医者』として、皆様の大切な地域社会を支える道を子や孫の世代に引き継ぐための活動を継続的・精力的に実施しています。
●宮崎「橋の日」実行委員会:宮崎県【CNCP通信:2023年9月 Vol.113】
8月4日「橋の日」は、今から 30年以上前、宮崎県延岡市出身で宮崎市在住、当会顧問の湯浅利彦氏が提唱した宮崎発祥の記念日です。
橋とのふれあいをとおして、橋の役割に思いを馳せ、橋に感謝する気持ちをもっていただくことにより、故郷を愛する心を育てたいという想いが「橋の日」提唱の原点です。私たちが日頃、何気なく利用している橋、どの橋も先人たちが苦労してつくり、私たちに残してくれたまさに汗の結晶ではないでしょうか。
これらの橋は、人と人、地域と地域を結ぶとともに、人や物、そして心や文化を渡し、そしてまた、まちや地域の景観に溶け込んで心を癒してくれるなど、まさに「架け橋」となって私達に大きな恩恵を与えてくれています。橋に感謝し、地域を見つめなおす「橋の日」としたいと考えています。