多様な交流の場を通じて、土木の魅力を伝える
土木学会関東支部 支部長
清水建設(株)常務執行役員
加藤 和彦
土木学会関東支部では、市民の皆さんやお子さんを対象とした各種見学会や、学生どうしの交流の場を提供する行事などを企画・実施し、広く土木の魅力を伝えております。主な企画として、「コンクリートカヌー大会」、「どぼくカフェ」、「親子見学会」、「写真コンテスト」の4つをご紹介いたします。
1)土木系学生によるコンクリートカヌー大会
2022年8月27日の開催で第27回を迎えた「土木系学生によるコンクリートカヌー大会」は毎年8月に埼玉県戸田市の荒川貯水池「彩湖」にて行っております。土木学会関東支部が60周年を迎える2023年度は海の森水上競技場に会場を移し、記念大会として開催を予定しております。大会は、「土木構造物の主材料であるコンクリートを用いたカヌーの製作とレースを通じて、ものづくりの楽しさを土木の将来を担う学生たちに実感してもらうこと」を目的に掲げており、高校生・高専生・大学生(大学院生含む)からなるチームを対象としています。カヌーの製作規程の主な内容として、長さ4.0m以下、幅1.5m以下、重さ150kg程度以下の2名乗りのオープンデッキタイプであること、セメント系複合材料を使用することなどとしています。大会の順位は、「カヌー製作に関する審査資料の評価点(最高点50点)」と、「レース点(最高点50点)」の合計得点から決定され、毎年東北から九州に至るまで関東圏内のみならず多くの学生の参加をいただいている行事です。2022年度の大会では、大会屈指の常連校である大曲工業高等学校が圧倒的なパドリング技術でレース点トップを獲得しましたが、カヌー評価点との総合点により、横浜国立大学が栄冠に輝くというドラマチックな展開が繰り広げられました。
2)どぼくカフェ
どぼくカフェは、広い意味で土木と関連付けられるテーマに対して、市民の方々から話題を提供してもらい、街中のオープンな場所で講演・情報交換を行うことで、土木と市民の方々との新しい関係の構築を模索するものです。第1回からのテーマは、アニメやマンホール、天気予報や灯台など多岐にわたっており、広く土木との関わりについてご紹介いただいております。オープンな場所での講演であることから、会社帰りの方にも足を止めていただくなど、多種多様な方々にご参加いただいております。2022年度は、コロナ禍によりオンラインでの開催となりましたが、津軽海峡マグロ女子会の三津谷あゆみ氏にご講演いただきました。前半は津軽海峡マグロ女子会の活動について、パワフルなマグ女の皆さんが面白いイベントを企画し心から楽しんでいる状況のご紹介がありました。後半は津軽海峡圏の魅力紹介として、函館のコンクリート建築や青森の鉄道旅など土木に関連している内容の紹介がされました。
3)親子見学会
親子見学会は、土木の日(11月18日)前後に関東近郊の建設現場を親子で見学をしてもらう行事です。将来を担う子供たちに土木技術のすばらしさを知ってもらうというコンセプトのもと、普段なかなか立ち入ることができない建設現場を見学していただき、親子で土木に対する理解を深めてもらいます。見学先は、高速道路(シールドトンネルや橋梁など)、ダム、鉄道など多岐にわたります。2022年度は横浜環状南線のシールドトンネルと橋梁工事を見学しました。完成すると徒歩では通行できない場所をじっくりと見学することができ、参加者からは「運転免許を取ったら自分の運転でこの道を走りたい」という声も聞かれました。
4)「土木のある風景」写真コンテスト
写真コンテストは、1999年から毎年開催して2022年度で第24回となりました。求めるテーマは「身近なくらしのなかで息づく土木構造物を、幅広い角度からとらえてください。施工中の構造物であっても構いません。」とし、毎年、多くの方から応募いただいています。厳正な審査のもと選ばれた入賞作品は、土木学会関東支部のホームページに掲載し、土木学会関東支部総会にて表彰式を行います。また、入賞作品を用いてカレンダーを作成して、土木学会関東支部総会の参加者や土木学会関東支部の法人会員にお渡しして職場への掲載をお願いしています。これまでの入賞作品は、橋梁・ダム・鉄道・高速道路・水利構造物など土木の代表的な構造物が美しいアングルで撮影されています。
(土木学会関東支部 ホームページ参照 「土木のある風景」写真コンテスト | 土木学会関東支部 (jsce.or.jp))